CND Forum – Day5 – Wednesday August 28
フォーラム4日目は、ノートルダム・デ・ザポートル地区による朝の祈りで始まった。地球のいのちを賛美する美しい歌と世界にある人種差別、構造的な人種差別についての和解を祈る共同祈願が唱えられた。今日は午前中に2つの会議が行われた。最初は「人種差別、白人特権主義と南北関係」についてであった。講演者のマイカ・ソンダージュは、私たちは無意識レベルで不平等さの中に生きていることに気づくよう呼びかけた。マイカ氏は、脱植民地化ということばには3つの意味があると紹介した。フォーマルな脱植民地化、力の脱植民地化、精神の脱植民地化である。この世界を脱植民地化していくために必要なことは、色々な人種や経験がある人を組織の中に入れること、彼らに居場所があるかどうか見守りながら、アットホームさを感じることができるような環境をつくることが大切と述べられた。私たちが真の人間を取り戻していくために、文明を非文明的、文明的と二極化して捉える視点をやめて、心から脱植民地化していく必要がある。今日、私たちがこの問題に取り組むためには善意だけでなく、知識が必要なこと、問題を意識している人に仕事を任せることが必要であると提案された。
2つ目の会議ではアリー・ンディアイェ氏は自身が翻訳した「チャールズ・W・ミルズによる『人種契約』」について、白人の優越的な考え方と政治的な制度が、現代的な世界をつくっている現実について語られた。その背景には、白人が、自由、平等、連帯という名のもとに、白人でない現地人と搾取の契約を結ぶ「人種契約」の考え方があり、それが奴隷制度や資本主義につながっている。「人種契約」の考えによって、白人でない人は無知であるということを証明するための教育が行われ、白人ではない人を奴隷として使うようになった。白人至上主義を社会の中心とするあり方は、今日も行動をとおして現れている。アリー氏は、肌の色の違いから社会をつくるあり方は今も続いていると述べられた。
全体会では、3つの分科会の内容のまとめが行われた。世界の歴史は征服者としての観点から書かれており、植民者は、相手の宗教、ことば、名前、家庭のシステムなどを塗り替えてきた歴史がある。植民化された土地の人々は、植民者のことばや価値観を得たが、一方ではアイデンティティー・自己肯定感を失ってしまった。今も共同体のなかで、食べ方や服装など、脱植民地化されていない面が見られるということを私たちが意識化することから取り組みはじめる必要があるという意見もあった。
ジャンヌ・マリーは、まとめとして「時が満ちたので、あと数年の間に「CND」は人間らしさを取り戻すために、どのように制度的な抑圧と戦っていくかについて考えるよう」と勧めた。痛みが大きいとしても、私たちの間にも制度的な抑圧があったことをしっかり受け止めて、悪い習慣、制度を解体する必要がある。力をもつ人は力をもたない人とどのように関わっていくかについて真剣に考え、公正なリーダーシップをとる責任があると述べた。最後の祈りはアソシエートの教区司祭が担当して下さり、参加者に祝福をして下さった。
夕食後は、変容委員会の分かち合いとカナダ先住民の文化が紹介されていた。晴天のなか有志の参加者は、パウンドケーキをいただきながら先住民の伝統的な音楽を楽しんでいた。